よろず堂通信

プリキュアなどのアニメ・フィギュア情報からたまには真面目な話まで、ジャンルを問わず気になるニュースはなんでもとりあげる「よろず堂通信」です♪

*

TBSドラマ「ヤメゴク」第4話のあらすじをネタバレ!主題歌は長瀬!?

      2016/06/28

ヤメゴク1-2

大島優子主演のTBSドラマ「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」。

第3話では、ついに麦秋と橘が顔を合わせましたね。

今後の展開の含みも見せつつ、第4話では麦秋がヤクザを心底憎む理由の根幹が判明しそうな雰囲気です!

ところで、主題歌がネットで話題となっています。歌っているのは一体誰!?

それでは、5月7日(木)21時から放送する第4話のあらすじなどをご紹介します♪

 

<スポンサーリンク>

●第3話の視聴率と主題歌の謎

 

4月30日(木)に放送された第3話の視聴率は、残念ながら若干低下して6%でした。

とはいえ、ゴールデンウィーク期間中なので全体的にドラマの視聴率は低下傾向。

なので、それほど心配する必要はないかもしれません!

 

いや、そもそもが…なので(笑)

 

そうです。4月スタートの春ドラマ14本のなかでも、「ヤメゴク」の平均視聴率は10番目という状況で、決して人気ドラマではありません。

 

ネットでは主演女優に問題があると言われていますが、それについてはごく一部のマニアな人々が語っているだけ、というのが実情だったりするのではないかと憶測。

それ以前に、堤幸彦氏が手掛けるドラマは確かにヒットしていますが、実は最初っからヒットしているというよりも、後々じわじわきて、続編で爆発…というイメージがあります(個人的見解です)。

加えて、「ヤクザもの」という設定が、TBSの木曜9時という時間帯では受け入れがたい部分があるのではと、邪推してみたりもします…。

 

さて、にわかに話題となってきているのが、「ヤメゴク」の主題歌です。

ドラマ内の音楽については、3人組のインストバンド「fox capture plan」と元チェッカーズの「武内亨」さんが名を連ねています。

「fox capture plan」と「武内亨」さんについては、ちょっとググればいくらでも情報は出てきます。

 

しかし、主題歌については、曲名が『世界は終わらない』、バンド名は「Thinking Dogs」(ソニー・ミュージックレコーズ)という情報のみ。

 

バンドメンバーのビジュアルどころか、メンバー構成すら謎。

主題歌のリリース情報もなし。

 

そもそもドラマ内で、1曲ちゃんとかかったためしがありません。YOUTUBEでも曲自体の動画は「準備中」とのことで、アップされておらず…。

 

だいたい「主題歌」というのは、オープニングのタイトルバックにかかる曲…というイメージが強いですが、「ヤメゴク」の主題歌については、ドラマ内…特に終わり間際にバックでかかっているので、てっきり「挿入歌」かと思っていました(笑)

 

で、この曲ですが、一体誰が歌っているのか、まったくもって謎なわけで。

一部ではTOKIOのボーカル・長瀬智也さんではないかと囁かれています。

 

確かに、声は長瀬さんにそっくりです。

声の伸び具合などを聴くと、長瀬さんだと思っても不思議はないかもしれません。

ただ、長瀬さんにしては、ちょっと裏声が違うかな…?とか、全体的に声が若いかな…?という感が否めません。

 

結局のところ、真相は公表されるまではわかりませんが、長瀬さんかどうかはまだまだ確証がないといったところでしょうか。

気になる疑問を残しつつ、第4話のあらすじをご紹介します♪

 

●第4話のあらすじ

 「ふざけんなコノヤロー!」

いかつい男…白城会系「硲(はざま)組」組長、硲裕司(緋田康人)が怒鳴りながら、妻を壁際に追い詰めた。

「バカヤロー!直談判した?」

壁ドンが、勢い余って壁に穴を開けてしまう。

「したわよ。今月の組合費しばらく待ってくださいって」

妻・硲知佳子(神楽坂恵)が、強い眼差しで言い返す。組合費…いわゆる上納金のことだ。裕司が右手を振り上げ、知佳子の頬を叩く。たまらず倒れ込む知佳子。床には子どものおもちゃやゴミが散乱していた。

「俺の顔潰しやがって、コノヤロー!」

裕司が怒鳴る。そこへ、騒ぎを聞きつけた娘が、「ママ!」と泣きながらが走り寄り、倒れ込む知佳子にすがりついた。

「優奈の保育園の支払いが先でしょ!」

起き上がった知佳子は鼻血を流している。

裕司は保育園など必要ない。専業主婦ならお前が面倒見ろと怒鳴りつける。

「見てたわよ!あんたにあれこれ頼まれて、面倒見る時間がなくなったんでしょう!誰それが警察に捕まったから警察に行けとか、誰それが出所するから迎えに行けとか、挙句の果てにみんなの飯だけ用意しとけ、酒だけは切らすな…そのお金どっから出てると思ってるのよ!」

知佳子が負けじと応戦した。

「俺は組を背負ってるんだよ」

裕司が優奈のおもちゃのタンバリンで知佳子の頭を小突く。

二人の言い争いは続き、優奈はそれを見て泣くばかりであった。

 

警視庁・電話相談室。

「はい、足抜けコール…つまり、暴力団を抜けたいと言うことですね?カタギになると同時に、離婚もしたい?」

受話器を取った麦秋が、電話をオンフックにする。

「これからは娘と、二人だけで生きていきたいんです。そのためにも離婚して、極道の妻をやめたいんです」

 

関東貴船組・組長橘の屋敷。

「最近うちは、相次いで二次団体とフロント企業を失った」

デスクに置いた加湿器で喉を潤す橘。

「例の黒い服の小柄な警官」

藤田が口を開いた。

「その女の名刺、親父にお渡ししましたね」

横に控える若頭・水田が橘を見ながら言った。

「そのせいでうちは、急に経済的に厳しくなった。今は千一のシノギで何とか持っているようなもんだ」

「この前スカウトした客人がよく稼いでくれてる」

水田が扉の向こうを見ながら言った。

「デイトレードとか言う俺にはよくわからないシノギだ…しかし稼ぎが凄い」

橘は加湿器から顔を離すと、鼻をかんだ。

「だが、それ1本では心もとない。そんな時、君はうちの構成員になった」

橘が、デスクの前に立つ藤田に向かって言った。引き出しから何やら小さな木箱を取り出す。

「心して身に着けさせていただきます」

藤田が深く頭を下げた。すると、すぐさま、「身に着けるな」水田が言う。

「身に着けるのは、葬儀や襲名の時だけだ。カタギに配るなよ…渡していいのはヤクザだけだ」

そう言うと水田は、ポケットから藤田の名刺の束をを取り出した。

橘が人差し指で藤田を呼び、側に来させる。

「いいか。千一に負けないような太いシノギをしろよ、喜一郎」

言いながら、藤田の上着の左襟に、〇に貴の文字が入ったバッジを付けた。

「組の資金獲得に、励ませてもらいます」

藤田は頭を下げる。

「お前は本部のヒラだから、組合費はこんなもんだ」

水田は藤田に名刺の束を渡す。

「毎月10日の定例会には上納しろ」

その束の裏には、¥500,000の走り書きがあった。

「これまた、結構…」

藤田が金額を見て困惑する。

「お前もこの世界は長いはずだ。シノギの一つや二つ持ってるから大丈夫だな」

「はい。前にいた組ではシャブを扱ってました」

水田の言葉に藤田が答える。しかし、その答えに水田の顔がこわばり、橘を一瞬見る。

「喜一郎…関東貴船組は代々、シャブはご法度だ」

「お前もそのつもりでいろ」

橘が水田の後を続ける。

「承知しました」と、藤田が頭を下げ、橘が出した小さな木箱に手を伸ばした。

その時、デスクの開いていた引出の中に、麦秋の名刺が入っているのが藤田の目に映った。

 

警視庁・電話相談室。

「主人は、硲組の組長です」

応接セットのソファに、硲知佳子が座っていた。対面のソファには室長と東条が、三ケ島はデスクチェアの背もたれを抱えながら座り、麦秋はその横に立っている。

「硲組!聞いたことないわ…」

三ケ島の言葉に、「白城会(しろきかい)の三次団体です」と、麦秋が答える。

「白城会…指定暴力団でございます」

佐野がお盆にお茶を乗せて来た。知佳子の前にそっと差し出す。

「生活が苦しいとのことですが、ご主人のシノギは?」

室長の質問に、「石ケ谷運送の社長をしています」と知佳子が答える。

すぐさまインターネットで「石ケ谷運送」を検索する東条。

「建設資材の運送業ですね」

パソコンには、石ケ谷運送のホームページが表示された。

「もう何か月も主人の給料は出ていない状態です。なのに、組への上納金とか、葬儀なんかの 義理立て金とか、お金が出て行くばかりでうちにはもう3ヵ月もお金を入れていません」

「だから別れたい?」

麦秋の言葉に、知佳子は頷いた。

「金の切れ目が縁の切れ目」

麦秋が無表情に言う。「おいっ!」と、三ケ島がたしなめる。

「いや、だって…娘だってまだ小さいのに」

知佳子が言い訳がましく言うが、

「責めているわけではありません。ヤクザと分かれることにはむしろ賛成です」

と、麦秋が言った。

「ちょっ、まって、おま…」と、三ケ島が割って入る。

「経済的に苦しい時があるのは、カタギになってもおんなじや」

三ケ島は諭すよう知佳子に語りかけた。

「だからなんですか?」

三ケ島は麦秋の言葉を無視して、「なんとか一緒にやっていかれへんの?」と知佳子に聞いた。

「苦しい時は、奥さん。例えばあんたが働いてでもご主人を…」

「言いました!」

知佳子は三ケ島の言葉を遮り、叩きつけるように言った。

「働きに出たいって。でも、許してもらえないんです」

知佳子は目を伏せた。

「それは、お珍しいケースでございますこと」

佐野が知佳子を見て言う。

「普通は万一捕まった場合に備えて、何かしらの仕事につかせたがるもんだけどね」

室長が腕を組みながら言った。その横では東条が鼻にティッシュを詰めてニヤニヤしている。

「よし、そういうことやったら俺の方からご主人を説得して、奥さんが外で働けるように…」

三ケ島が最後まで言い終わらないうちに、麦秋が「三ケ島刑事!」と割って入る。

「あなたはどの立場で話しているんですか?」

「足抜けした後に、一番必要になんのは奥さんのサポートや」

三ケ島はソファに座る知佳子を指差した。

「今回足抜けするのは、その奥さんだけです」

麦秋に言われ、間違えていたことに気付く三ケ島。

「ご主人様には足抜けの意思はございませんのでございましょうか?」

佐野に言われ、「ありません…」と知佳子は首を振った。

「ということは、今頃気づいたけど、これって…?」

室長の言葉を遮るように、「これは足抜けコールで引き受けるべき事案です」と、麦秋が言う。

「ウソでしょう。どう聞いても、ただの離婚問題だよ!」

室長が声を荒げる。

「相手はヤクザの組長です。そして彼女は、ヤクザに姐さんと呼ばれる立場の人。構成員と言えなくもありません」

麦秋の言葉に、「言えないと思うけどねぇー」と呆れる室長。

「しかしそう考えれば、彼女がなさろうとしているのは、単なる離婚ではなく、ヤクザの世界からの足抜け?」

佐野が言いながら三ケ島に近づく。

「おお。警察が間に入った方が、スムーズかもしれんな」

「というわけで、硲組の硲知佳子さん」

麦秋が言うと、三ケ島は慌てて麦秋の横に並び、室長と東条はソファから立ち上がった。佐野はパーテーションの向こうから何かを持ってくる。

「あなたの足抜けお引き受けいたします」

麦秋と三ケ島が声をそろえ、東條と室長は仕方なくそれに従う。

「よぉぉー」

佐野は掛け声とともにドラを叩いた。

 

「いいんですか?」

東条が室長に問いかけるも、「法的にダメな気がする」と、室長は力なく答えた。

 

とある保育園。

麦秋の母・由美子(名取裕子)が園児を鉄棒で遊ばせていた。そこへ、「由美子先生っ!」と言いながら、保育士が慌てて駆け寄ってくる。

「まずいって。担任がいないのに鉄棒なんてさせたら!」

「でも、みんなやりたいって」

由美子が答えるも、

「先生ベテランだけど、一応パートなんだからやばいって!」

と、保育士が困った顔で腕を組んだ。

「あ、そろそろお散歩の時間ね」

由美子は腕時計を見てそう言ったが、

「そうなんですけど、なんか変な人がうろついているんです!」

と、保育士が言う。「なんか怖い感じの…もろヤクザって感じの!」

由美子が振り返り、保育士が園の外に立っている男…橘勲を指差した。

「何?あのおじちゃん?」

園児たちが口々に言う。保育士が見ちゃダメっ!と園児たちを園内に行くよう促した。

橘と由美子の視線がぶつかり合う。

 

石ケ谷運送。

麦秋と三ケ島がやってきた。「なんだ?」と言われ、警察手帳を見せる。

「運送会社なのに、トラックが一台もあらへんがな」

三ケ島の言葉に、硲が「トラックなら営業所にありますが」と答える。

「自分では働かんと、外のカタギに丸投げパターンってやつか」

三ケ島が口を尖らせて言うが、

「違法ではないはずですが、警察が何のようです?」

と、硲がいかつい顔で言葉を返す。

「硲知佳子さんの旦那やな?」

三ケ島に聞かれ「そうですが」と答える硲。

「硲組組長の硲裕司さん」

麦秋がつかつかと、デスクに座る硲の前に歩いていくと、カバンから一枚の書類を取り出し、デスクの上に置いた。

「こちらに、一筆頂戴いたします」

「離婚届?」

硲が素っ頓狂な声を上げる。置かれた書類は離婚届。知佳子の判はすでに押してあった。

 

とある神社の境内。

ボディーガード役の組員が二人、あたりを見回している。その奥、神社の境内には、由美子と橘の姿があった。

「知りません…麦秋とはもう3年会ってません」

由美子の言葉に、「3年って…」と、橘が驚く。

「あれ以来ってことか」

「あなたにはもう会いません」

由美子が言ってその場を離れようとするが、橘がその腕をつかみ引き寄せた。

「あの時もそう言ったはずです…あなたが…私の夫に…あの時も…」

由美子は掴まれた腕を振りほどき、走り去る。

「俺のせいじゃねぇよな」

橘が由美子の背中に声を投げ、由美子が一瞬立ち止まった。

「俺のせいじゃねぇだろ…お前の娘がこうなったのは」

 

石ケ谷運送。

奥の扉から、硲組の構成員たちが何人も出てくる。

「別にお前ら逮捕しに来たわけちゃうがな…」

オドオドしながら慌てて麦秋のそばに来る三ケ島。

「離婚する気はさらさらねぇってことですよ」

硲が投げやりに言う。

「ほ、ほな、一緒に足抜けせぇへん?」

三ケ島の言葉に、麦秋が鋭い視線を向けた。

「俺は社長だ。会社や社員を見捨てるわけにはいかねえんだよ」

「足抜けを勧められて、社長だと断る。ここがヤクザのフロント企業であることを認めましたね」

麦秋の言葉に、硲は何も言わない。

「今、その話はええがな。みんなで一緒にカタギになったらえぇやんけ、な」

三ケ島が構成員たちにも話を振る。

「愚かなのはそのダサい髪型と変な靴下だけにしてください」

麦秋が呆れて言った。「人前や…」と呟く三ケ島。

「ここは建設業をシノギにしてる、白城会のフロント企業。そのツテで建設資材の運送業ができているんです。カタギの会社になったら、仕事なんてありません」

「おっ、そやたらせめて、奥さんが外で働くこと認めたれや」

「はぁ?なんで警察にそんなこと言われなきゃなんねんだよ」

硲が小ばかにしたような口調で言った。

「だから、収入もちょっとあがって、離婚せんでようなるかもしれへんやんか」

そう言う三ケ島に麦秋は、「依頼人の希望は離婚です」と囁く。

「離婚はしねぇ、外で働くのも認めねぇ」

硲が声を荒げた。

「なんでやねん、働かしてやったらえぇやんか。おかしいなホンマに。万が一ムショ入った時考えて安心やろ」

「なんでやねん。うちの夫婦のことに」

三ケ島と硲が言い合いをしている時、麦秋は何かをじっと見ていた。

 

警視庁・電話相談室。

「あなたは二人を離婚させたくないようですね。以前にもそんなことがありましたね」

自室代わりに使っている部屋で、ズロースを干す麦秋。

「いい加減うんざりです」

カーテンを開けて部屋から出てくる。

リーゼント達磨をハンカチで拭き、デスクに置く三ケ島。

「夫婦は一緒におった方がえぇんや」

「そう言えば、三ケ島刑事は離婚したと言っていましたね」

電話線を手繰り寄せながら、麦秋が言う。今夜も留置室のトレーナー上下を着ている。

「言うてへん。お前が当てただけや」と、ぼそぼそ言う三ケ島。

「あなたの仕事が嫌になった奥さんが出て行った」

「当てるなっちゅうの!」三ケ島は慌てる。

「具体的には何があったんですか?」

話を切り上げて、麦秋を自室へ行けと促す三ケ島。「ハウスやハウス!」と言いながらカーテンを開けると、

干してある5枚のズロースが目に入り、慌ててカーテンを閉めた。

「マル暴の刑事は、ヤクザになめられないように、ヤクザのような髪型や服装になっていく…それに奥さんは耐えられなかった」

麦秋は電話を傍らに持ちながら、三ケ島の方へ詰め寄る。

「一度は愛した人が、自分の想像を絶する、奇天烈な生物になっていく。早く、この人が常軌を逸したファッションモンスターになる前に早く離婚を」

麦秋に詰め寄られ、「あなたの世界に娘を巻き込まないで」と言う妻の言葉がフラッシュバックする三ケ島。

「何がファッションモンスターや!そんなんで離婚するかい!腹立つわホンマに!」

慌てて反論する三ケ島だが、「ではなぜですか?」と麦秋に言われ言葉に詰まる。

麦秋は、カーテンのそばに立つ三ケ島の横をすり抜け、引っ張ってきた電話を自室に置くと、またカーテンの外へと出てきた。

「嫌がらせを受けたんじゃ。女房と娘が」

三ケ島はポケットに手を突っ込みながら言った。

「ヤクザはいつもそうやって、いつも弱いものを狙ってくるんです」

麦秋は言うと、おもむろに段ボールから大麩豪を取り出しむさぼり始めた。

「嫌がらせ言うても、娘の幼稚園の周りをうろついたり、家にちょっとした張り紙とか電話とかその程度や」

ソファに寝床を作りながら、三ケ島が言い訳がましく言う。

「十分です。普通の母親にとってはオオゴトです」

「いつでも連絡せいって言うとった。交番の連中にも巡回してもうて、専用の警護要員も派遣してもうて、俺もできるだけのことはしてたっちゅうねん」

「緊急連絡と巡回と警護。その環境で生きていくのは、普通の女性には耐えがたいはずです」

「普通のって…俺がマル暴って知ってて結婚したはずやろう。ちょっとは俺の仕事を理解してくれや…」

三ケ島が自虐的な笑いをこぼすと、「そう奥さんに言ったわけですか?」と麦秋が言う。

「ヤクザを本当に理解するカタギなんていない。同様に、マル暴の刑事を本当に理解するカタギなんていません」

麦秋に言われ、三ケ島は返す言葉がない。静かな空間に、麦秋が大麩豪を噛む音だけが響いていた。

 

翌日・電話相談室。

足抜けコールの非公認ゆるキャラ「やめたん」の着ぐるみを、コロコロで掃除している室長と東条が、「え?」と、声を揃えて言った。

「では、調査の方よろしくお願いします」

麦秋は二人に敬礼すると、足早に部屋を出て行こうとする。

「それって、硲知佳子さんの足抜けに関係あるの?」

東条が慌てて麦秋の背中に言葉を投げる。

立ち止まり、振り向く麦秋。

「我々が足抜けさせようとしているその女性。もしかしたら犯罪者かもしれません」

言うと部屋を出て行った。

「どういうことです?」

室長に聞く東条。

「わからない。けど、嫌な予感しかしない」

 

警視庁・舎人警察署前。

麦秋が佐野を伴って警察署の前に立っていた。

 

警視庁・喫煙室。

「ホットシャブ?」

三ケ島が怪訝な顔で聞く。

「間違いありません。また出回ってます」

ヤク担当の刑事がタバコの煙を嫌がり喫煙所を出ようとするも、三ケ島は慌てて止める。

「ホットシャブってなんや?」

「マル暴のデカなのにそんなことも知らないんですか?」

ヤク担当の刑事が呆れたように言う。

「注射した時に、ゾクッと冷たくなるシャブに対して、カーッと熱くなるからホットシャブ!」

「それが、また出回ってるって…またってなんや」

「九瀬組覚えてますよね?」

ヤク担当の刑事に言われ、「あの女が潰した組やからな」と、呟く三ケ島。

「九瀬組が昔よく流してた、特殊なシャブです。でも、これを扱っていた九瀬組は壊滅したはずなんですよ」

三ケ島の脳裏に、藤田の顔が浮かぶ。

「三ケ島さん…なんか知りませんか?」

ヤク担当の刑事の言葉に、「あ、いや、知らんなぁ」と、すっとぼける三ケ島だった。

 

警視庁・舎人警察署前。

警察署の前には、麦秋と佐野の姿が変わらずあった。

「まだなんですか?」

麦秋に聞かれ、「間もなく出てこられるはずでございます」と、佐野が腕時計を見ながら答える。

「ではなく、依頼人の仕事…まだ見つからないのかと聞いています」

「お言葉を返すようで大変お心苦しいのでございますが、私ども暴追センターでは、男性の職は常時ご用意してございますが、女性の職は確保してないんでございますよ」

「言い訳はいいから早く探してください」

麦秋が鋭く言う。

「私には、他にも仕事があるんでございますがねぇ…」

佐野が反論するが、「こちらを優先してください」と言われ、言葉を失った。

そこへ、タイミングよく、弁護士が有留章子を伴って、警察署内から出てきた。佐野が弁護士に駆け寄る。

「お素晴らしい弁護活動をしていただき、誠にありがとう存じます」

佐野が弁護士に頭を下げた。

「嫌疑不十分で起訴猶予になったとか…」麦秋の言葉に、

「まぁ…医師法違反なんで、最終的には医師会の判断に任せることになると思いますが、恐らく医者は続けられるそうです」と、弁護士が笑いながら言う。

「無理よ…もうこの街では…どこへ行っても医者なんてできない」

章子は首を振り、麦秋の横を歩き去る。

「安心しました」

麦秋が言うと、章子が歩みを止めた。

「つまり先生は、医者を続けたい…そうですね」

章子が振り向き、麦秋と目が合った。

「そのご依頼、お引き受けいたします」

 

とある夜の街角。

「ホットシャブ?」藤田が声を上げる。

「せや。ホットシャブや」三ケ島がタバコを片手に言う。

「知らん。関東貴船組はシャブご法度だ」

藤田は言うが、

「ヤクザのご法度なんて建前や、あてになるかい」と三ケ島が言う。

「とにかく俺じゃない」

藤田はタバコを捨て、立ち去ろうとする。

「うちのヤク担当がもう目ぇつけとんのや」

三ケ島は、藤田が捨てたタバコを拾うと、携帯灰皿に捨てた。

「お前にたどり着くまで時間の問題や」

言うと、自分のタバコも携帯灰皿に捨てる。

「おいっ!これはお前、何の脅しだい」

藤田が立ち止まり振り返る。

「せやから…」

三ケ島が困った顔で藤田を見た。

「パクられる前に足抜けせぇへんかい言う優しさやないけ」

「俺に組を抜ける意思はない。てめぇら足抜けコールの出る幕じゃねぇよ」

「どんな人間でも足抜けさしたるわい」

三ケ島の言葉に、藤田が薄く笑った。

「お前にそんなことできんのか?」

「俺にはできんかもしらんけどや、あの女やったらできるかもしらん」

三ケ島が呟くように言った。

 

警視庁・電話相談室の朝。

「バクちゃん…バクちゃん」

カーテンに向かって麦秋を呼ぶ室長。留置室のトレーナー上下を来た麦秋が、眠そうな顔でカーテンの中から出てくる。

「バクちゃんが言っていた通り、依頼人の名前で調べたら、彼女が社長をしている会社が見つかりました」

室長はそう言うと、麦秋に書類を渡した。書類には、石ケ谷アート株式会社、取締役には硲知佳子の名前があった。

「住所が石ケ谷運送と同じですね」

書類に目を落としながら、デスクに向かう麦秋。

「石ケ谷運送の別会社だろうね」

東条が言う。

「仕事は…産業廃棄物の運搬…しかも、かなりの確率で違法産廃業者です」

麦秋が室長と喋っている間に、東条がカーテンを開けて中に入っていった。中を見て愕然とし、麦秋を見た。床に置いてある電話機をおもむろに拾う。

「何でわかるの?」

室長が麦秋に聞く。

「石ケ谷運送にマニフェストという帳簿がありました」

「マニフェストかぁ。政治家の、当てにならない公約のことか?」

出勤してきた三ケ島が割って入る。

「違います。産業廃棄物の不法投棄を防ぐため、伝票で産廃の流れを管理する制度の事です」

「難しいことを何でもつらつらと、よぉ知ってるねぇお前は」

三ケ島が麦秋に言った。

「…何か問題でも?」

「パソコンのデスクトップに、マニフェストのアイコンがありました」

麦秋が初めて石ケ谷運送に行ったときに見たのだった。

「本来、帳簿があれば、管理は事足りるんです」

「別に管理しているデータが、パソコンにあった」

東条が言葉を継ぐ。

「つまりあれは、マニフェスト対策のソフト」

「あぁ…だから違法産廃業者」と、合点がいった顔で室長が言う。

「だとしたら、彼女は犯罪者です」

麦秋の言葉に、「だとしたら、彼女に確認してみる必要があるね」と、腕を組む室長。

「せやけどお前ホンマによういろんな法律知ってんのう」

三ケ島がリーゼントを撫で上げながら言う。

麦秋は書類を握りしめる手に力が入る。ところどころ赤字で添削された書類が麦秋の脳裏をかすめ飛んで行った。

スマホのバイブレーションが麦秋の体を揺らす。三ケ島に言われ、スマホを手にする麦秋。

「妹からです」

麦秋は電話に出た。

「なんかさぁ、お姉ちゃんに聞きたいことがあるんだって、お母さんが。もうすぐここにくるけど…お姉ちゃん最近お母さんに会ったの?」

妹の遥は、新しい勤め先…あぶくま整形外科の外から電話を掛けていた。

 

警視庁の廊下を歩く麦秋。その後を三ケ島が追いかける。

「おい、どこや、妹の病院。俺が送ってったるわ」

三ケ島はポケットに手を突っ込みながら、麦秋と並んで歩く。

「結構です」

麦秋はすげなく断る。

「話があんのや、お前に」

「あなたの話など後回しです」

麦秋は目もくれない。

「関東貴船組や」

三ケ島の言葉に、麦秋の足が止まる。

「やっぱ反応したのぅ」

三ケ島が薄く微笑む。

「関東貴船組が何か」

「ヤクザ目の敵にしているお前が特に憎んでるのが関東貴船組や。今までのお前見てたら簡単にわかるわい」

「そんな話なら、なおさら後回しです」

麦秋はまた歩きはじめる。

「その貴船組からひとり、足抜けさせたいんや」

麦秋の背中に言葉を投げる三ケ島。麦秋が再び足を止め、「そのヤクザに足抜けの意思は?」と、三ケ島に聞いた。

「ない…そやけど足抜けさせたいんや…お前やったらそんなやつでも抜けさせられるやろ」

「そのヤクザの名は?」

麦秋は前を見たまま三ケ島に聞く。

「藤田や。藤田喜一郎や」

三ケ島の言葉に、麦秋が振り向いた。

「では、関東貴船組の藤田喜一郎さんの足抜け、お引き受けいたします」

言うと、歩き去っていった。

「やっぱり貴船組やと話早いな」

残された三ケ島は独りごちた。

 

とある喫茶店。

「暴力?」

硲知佳子が聞き返す。

「はい。ご主人様の暴力でございます」

佐野はそう言うと、パフェを口に運んだ。

「この前ひっぱたかれました」

知佳子はケンカしたときのことを思いだし、叩かれた頬に手を当てた。

「ということは…ご主人様には常習的な暴力がある」

佐野が色めき立つ。

「まぁ…年に一回くらい引っぱたかれますけど」

「年一でございますか…」

佐野は知佳子の言葉にガッカリして、パフェのスプーンを置いた。

「それが何か」

「それで、慰謝料を取るのは難しそうでございますね」

知佳子が納得するようにうなずいた。

「奥様の場合、離婚できたとしましても、すぐにご財産をご分与される可能性は低く、ご養育費も望めないかと思慮いたしており、離婚してお子様をご養育されながらとなりますと、こういったお仕事ではねぇ…」

佐野が資料をめくりながらいった。すると、向かいの席に座っていた知佳子が佐野の隣の席に座り、佐野の肩に手をかけた。

「あの、私、水商売でもなんでもします」

知佳子がしなだれかかり言うものの、「そういったお仕事は、我々ご紹介できませんのでね」と、佐野はすげなく言う。

そこへ、室長と東条がやってきた。佐野と知佳子の様子を見て、慌てた東条が「ちょっとっ!」と声を荒げる。

「硲知佳子さん、あなたに確認したいことがあります」

室長が知佳子に声をかけた。

 

遥の勤め先・あぶくま整形外科の屋上。

屋上のベンチに、麦秋の妹・遥(本田翼)と、母・由美子が並んで座っていた。

「この病院も、お姉ちゃんが紹介してくれたんだよ」

と、遥が言う。

「あれ、これ言ったよね?」

「うん。他には何か…?」

「他にって言われてもなぁ~…」

「何でもいいのよ。最近何か、バクちゃんに変わった様子なかった?」

「変わった様子って…ってか、お母さんいつからお姉ちゃんに会ってないの?」

遥に問われた由美子は、言葉を失った。

「そう言えば…うちに帰ってこなくなったよね、お姉ちゃん…私が看護師になってから…っていうかもっと前から?」

「もう…3年になるかな」

由美子がおずおずと答える。

「3年前…って、お父さん…?でも何で、なんか関係あるの?」

遥に聞き返され、由美子は言葉に詰まった。

「ごめんね、お仕事中だったよね、もう行くね」

と、ベンチから立ち上がった。

「思い出すよ。今でも時々…3年前の事」

遥が立ち去ろうとする由美子の背中に語りかける。

「だって…最初にお父さん見つけたの…私だったし」

 

夜。激しい雨がコンクリートの地面を打ち付けている。そこに男物の黒い傘が逆さに放り出され、その横に中年の男…麦秋の父がうつぶせに倒れている。倒れている父の前には、大麩豪のパッケージなどが散乱していた。

そこへ、傘を差した遥がやってくる。倒れているのが自分の父だとわかり、傘を投げ捨てて駆け寄った。肩を揺さぶっても、反応はなかった…。

 

「今でも忘れられない」

遥は悲しげな眼差しをした。

「遥がまだ、看護学生のころでしたね」

麦秋と三ケ島が姿を見せた。驚く由美子は「バクちゃん」と言い、麦秋のそばに駆け寄った。

「お母さん!…あなたはもう十分、私の人生を邪魔しました。これ以上邪魔をしないでくださいね」

目も合わせず言う麦秋に、由美子は口を押え、嗚咽を漏らしながらその場を駆け出して行った。

「お母さん、お姉ちゃんになんか聞きたいことあるんじゃなかったの?」

遥が叫ぶも、由美子は行ってしまった。

「そろそろですね」

麦秋は言うと、屋上から地上を見下ろした。そこには、佐野に連れられた章子の姿があった。

「あ、章子先生…先生…先生!!」

遥が能天気に喜びの声を上げ手を振ると、下へ駆けだしていった。章子は麦秋を見つめる。

「お前が呼んだんか」

三ケ島が麦秋に聞くが、麦秋は死んだような目をしてただ章子を見つめるだけだった。

 

「先生!」

章子を出迎えた遥は、笑顔で章子の前に立った。

「遥ちゃん、あなたこの病院に?」

章子に聞かれ「はい。後から先生が来るって聞いてちょーあがりました!」と答える。

「院長先生はおいででございましょうか?」

佐野に聞かれ、「はい~」と笑顔で答える遥。

「あ、先生、挨拶まだですよね、じゃぁ早くいきましょう」

遥が章子を中へ促すが、屋上から下りてきた麦秋と三ケ島を見て、佐野が遥に、

「私たちは有留先生と少し話してから伺いますので、遥さんは院長先生とお待ちになっていただいても、よろしかったでございましょうか」

と、優しく言うと、遥は駆け出して行った。

「さぁ、ここが、有留先生の新たなお仕事場所の病院でございます」

「私の過去の過ちは、院長先生方にご承知いただいているんですか?」

章子が佐野に聞き、麦秋が答える。

「さぁ、いきましょうか」

佐野に促された章子だが、真っ直ぐ麦秋の目の前で足を止め、

「また妹さんを私の監視役?」

と、早口で聞く。

「ええ」麦秋が答える。

「また、私を苦しめるのね」

章子の言葉に、

「ヤクザと関わったものは、一生苦しむべきなんです。私がそうであるように…」

麦秋と章子の視線が絡み合う。

「じゃぁ、院長先生に、ごあいさつに参りましょう。さぁさぁ先生、どうぞどうぞ…」

気を利かせた佐野が、章子を麦秋から引き離した。佐野と章子は病院の中へ入っていく。

麦秋はその場を立ち去ったが、歩き去る麦秋の背中に、三ケ島が語りかける。

「3年まえ父親が死んだ。もしかしてそれが、お前が貴船組を憎んでる理由ってやつか。そういうたら、橘勲っちゅう組長の逮捕にもこだわっとったな。使用者責任がなんやかんや言うて。それも、親父さんが死んだことに関係があるの?なぁ」

「石山室長からです」

麦秋は何も答えずに、振動するスマホを三ケ島に見せた。

 

警視庁・電話相談室。

室長は、往年の名刑事のように、ブラインドの外を見ながら言った。

「バクちゃん。凄いことわかったから、すぐ帰ってきて」

関東貴船組・組長橘勲の屋敷。

橘に蹴り飛ばされ、藤田が倒れ込んだ。鼻からは鼻血も流している。

「シャブはご法度だと言ったよな!」

橘の鋭い蹴りがさらに藤田の腹に入る。

「でも今はどこの組でも…」

藤田の肩を掴み立ち上がらせ、顔に拳、続いて腹に蹴りが入る。

「上に金さえ収めれば、どこの組でもたいてい見て見ぬしてくれる!うちもそうだと思ったんだな!」

水田の声が飛んだ。「はい」と返事をした藤田はまたしても橘に殴り飛ばされた。

「すいません、私の説明不足でした!」

水田が橘に頭を下げる。橘が水田の顔に拳を叩きこんだ。

橘は藤田に馬乗りになると、胸倉をつかみ、「今度やったら破門だ…いや、絶縁だコノヤロ」と、数発拳を叩きこむ。藤田が痛みで悲鳴を上げた。

橘とその取り巻きたちが部屋を出て行く。残された水田が言った。

「喜一郎。関東貴船組に建前はない」

「俺には…シャブのノウハウしかありません。どうすればいい…」

藤田の言葉を割り、水田がその胸倉を掴む。

「お前はうちの組員だ。だから、大紋は貸してやる。それでどう稼ぐかは、ひとりひとりの才覚だ」

藤田の目に怯えの色が走った。

 

警視庁・電話相談室。

麦秋と三ケ島が戻ってきた。

「まったく知らなかったみたいだよ、奥さん。自分が産廃運搬業の社長にされてたこと」

「やはり」

麦秋が室長から受取った書類に目を落とした。

「私も調べさせていただきましたでございますよ」

佐野もやってきた。

「奥様のご証言通り、石ケ谷運送は真っ赤っ赤の大赤字でございました。しかしこちらの石ケ谷アートは、結構な黒字でございました。そのからくりが…」

佐野はカバンから封筒を取り出し、麦秋に渡した。中には写真が入っている。

「石ケ谷アートのトラックが、よく廃材を運んでいる現場で、こうでございます」

「わかりやすい不法投棄ですね」

東条が写真を見て言う。

「違法なマニフェスト伝票で不法投棄すれば、安い値で産廃を引き受けられます」

「それで黒字になった産廃運搬業務だけ、奥様の名前を使って別会社にしているのでございましょう」

「バクちゃんの予想通り、違法産廃業者だったねぇ」

室長が腕組みしながら言った。

「ようこんなこと、こんな早よう調べたな」

三ケ島がむしろ呆れて言った。

「ゴ、ゴホン…私には、捜査2課に居た頃のツテがございます」

「その、まぁまぁ、エリートがなんで今こんなことしよるん」

三ケ島が佐野に聞くが、「それは今重要な問題ではありません」と麦秋に切り捨てられた。

「重要な問題じゃないって…」

佐野が三ケ島にしなだれかかる。

「続けて」

麦秋が言うと、佐野が気を取り直して先を続ける。

「これだけの証拠が揃えばこの会社を摘発できると、生活安全部は申しておりますが、いかがいたしましょう」

「この証拠で依頼人を、離婚させます」

麦秋が言った。ところが、

「しません!」

硲知佳子が慌てて入ってきた。

「私、離婚しません」

「急に現れて急な発言、どうしました!」

室長が大声で言う。

「優奈が…娘がさらわれました」

「さらわれた…誰にや!」

「主人です!」

麦秋がすぐさま立ち上がり、知佳子の目を見据えた。

「では、取り戻しに行きましょう」

 

石ケ谷運送。

「あぁ?さらったってなんだその言い方は!」

デスクに座る硲が麦秋に怒鳴る。

「実の父が実の娘と一緒にいるだけだろうが!」

奥の部屋では、娘の優奈と硲組の構成員が楽しげに笑いながら、遊んでいた。

「実の親でもな、未成年の連れ去りには、刑事罰が下ることがあるねや。せやから、ここはおとなしく…」

三ケ島が説明するも、その言葉を遮り、

「これから、廃棄物処理法違反で家宅捜索いたします」

と、麦秋が言った。

「パソコンや携帯、書類など、一切手を触れないで」

麦秋は家宅捜索令状を差し出した。慌てる三ケ島に令状を押し付ける。

「待て待て、廃棄物処理法ってどういうことだい」

「こういうことです」

硲の問いかけに、麦秋は佐野が持ってきた写真を掲げた。

麦秋は写真と自分のカバンを三ケ島に押し付けると、

「というわけで、これと、パソコンを押収いたします」

言いながら、マニフェストと書かれたファイルを取った。パソコンに手を伸ばそうとした瞬間、「渡すな!」と、硲の声が飛び、パソコンの目の前に座っていた構成員が、麦秋の手首を掴んだ。

「あかん、あかん!」

三ケ島が構成員に向かって言う。

「良かったです…先に手を出していただけて」

言うが早いが、麦秋は男の手を振りほどき、腹に一発拳を入れると、テーブルの上に乗って男の胸を蹴りつけた。たまらず男は後ろに倒れ、窓の外へと放り出される。

「公務執行妨害で、みなさん全員逮捕いたします」

麦秋は一同をねめつけるように言った。

「ざけんなコノヤロウ!」

硲の声を合図に、構成員たちがそれぞれ手近な得物を持ち、麦秋に襲い掛かる。麦秋はファイルとパソコンを手に持ちながら、華麗に攻撃を避けていく。

麦秋が手にしたファイルとパソコンを、取り返そうとする硲が掴んだ。そこへ構成員が一撃を入れ、避けた麦秋が手を放してしまう。

麦秋に襲い掛かる構成員たち。ゴルフグラブを手に応戦する麦秋。

硲はそっと優奈の手を引きその場から立ち去ろうとしていた。

「三ケ島!」

麦秋が構成員を踏み台にして硲の傍に近づくと、優奈を奪い、三ケ島にその身を任せた。

硲はファイルとパソコンを手に、事務所の入り口の外へ出る。

「お前の娘は預かった」

麦秋が硲に向かって言う。硲は何も言わずに駆け出して行った。麦秋は襲い掛かってきた構成員をなぎ倒し、窓のから身を乗り出す。

「足抜けコールの番号は、おーいにいさん、ヤクザやめろよ。おーいにいさん、ヤクザやめろよ」

硲に向かって叫んだ。

 

構成員たちがあちこちで倒れている石ケ谷運送の事務所内に、警視庁4課の水原たちがやってきた。

「はいはい。またこのパターンね」

水原が低く呟く。

「不法投棄の証拠を押さえようとしたら、先に手を出してきたので、あなた方が摘発のためにやった」

麦秋が言う。

「そう言う筋書きね」

水原が諦め顔で言う。

「水原さん、ここの社長がいません」

捜査員の一人が、水原に言った。

「あぁ…逃がしてしまいました」

麦秋の言葉に、「なんだ…らしくねぇな」と、水原が言う。

「で、さらわれたっていう娘は」

水原が麦秋に聞くと、麦秋は大きなクローゼットの前に立った。

「この中です」

扉に、三ケ島のリーゼントの先っちょがはみ出している。それに気づいた水原は、寄生を発して駆け寄っていった。

「おい、どういう状況なんだよ!」

優奈を抱きかかえてクローゼットの外に出すと、立ち上がって外に出た三ケ島にすがりついた。

 

構成員たちは全員逮捕され、水原たちに連れて行かれた。そこへ、知佳子を伴った佐野が慌てて走り込んでくる。

「優奈!」

知佳子が優奈を抱きしめると、その姿を見た佐野が目に涙を浮かべて感動した。

だが、麦秋は知佳子の腕を取り、手錠を掛けた。

「え?」

知佳子が驚きの声を漏らす。

「台無しでございます」

佐野が興ざめした表情で言う。

「何してんねん、娘の前で」

三ケ島が優奈の目に手を当てて見えないようにした。

「石ケ谷アート社長、硲知佳子さん。廃棄物処理法違反で逮捕いたします」

 

「この後あなたは起訴されて、数百万円の罰金刑が科せられるはずです」

警察車両の中。後部座席の真ん中には知佳子、左右に三ケ島と麦秋が座っていた。

「数百万円って」

知佳子が涙声で言う。

「ヤクザと結婚した、バカな自分への罰金だと思ってください」

「バクちゃんさん。今の奥様には到底ご無理な金額でございます」

助手席に座っている佐野が、麦秋に向かって言うが、

「無理でも払うしかありません」と、すげない。

「あなたが留置場に泊まるだけでも、カタギさんの税金が使われるんです」

「でも、娘さんはその間、施設の方で保護されることになっております」

佐野が知佳子に向かって言うと、知佳子は無言でうなずいた。

 

警視庁。

「しかしお前も味な真似するやないかい。逮捕って名目で、奥さんと娘保護してる間に、旦那見つけて逮捕しようって魂胆のこっちゃ」

エレベータを降り、電話相談室に向かう麦秋と三ケ島。

「そんな魂胆ありません」

麦秋はあっさり否定した。

「ないんかいっ!ほんだらなんでこんなこと…」

麦秋が立ち止まり、振り返った。

「三ケ島刑事。あなたは今回の依頼の最終的な目的を忘れています」

「なんやねん、最終的な目的って…」

「ヤクザの妻の足抜けです」

 

警視庁・電話相談室。

一本の電話が鳴った。東条が受話器を取る。

「娘返せバカヤロウ!」

東条が悲鳴を上げ、受話器を耳から離した。麦秋がオンフックにし、

「もう一度ご用件をどうぞ」と言う。

「用件も何も、娘返せって言ってんだよ!」

「硲組組長、硲裕司さんですね」

「娘さんは今、施設で大事に預かってございます」と、佐野が言う。

「父親に無断で勝手なことしてんじゃねーぞ」

硲が電話にがなり立てた。

「娘さんをお返ししても構いません」

麦秋の言葉に、電話相談室の一同が色めき立つ。

「返してほしかったら警察来いやお前!」

三ケ島がキャスター付きのデスクチェアに座って、電話口に近づいてきたが、麦秋がそれを蹴り返す。

「警察行ったら俺の事パクるだろう」

硲は周りの様子をうかがいながら、電話で話していた。

「では、警察以外で会いましょう」

麦秋が言うと、「バクちゃん!」と室長が止めに入るが、麦秋にひと睨みされてあっさり引き下がった。

「お互いにとって、有益な交換をしませんか?あなたが持ち去ったパソコンを、持ってきてください」

硲が手に持っているパソコンに視線を落とす。

「そうか。やっぱりこれが狙いか」

「ちなみに…奥さんは廃棄物処理法違反で逮捕しました。その奥さんの供述と、我々が集めた証拠により、石ケ谷アートはもはや摘発されたも同然です。だとすれば、貴方が持っているそのパソコン、あなたにとってどれほどの価値がありますか。我々にとっては、送検や裁判のための補強証拠という意味でそこそこの価値があります。そんなパソコンより、娘さんの身柄の方が圧倒的に価値があると思います」

「お前勝手に何をいうとんねん」

「バクちゃんさーん」

電話相談室の一同が、麦秋の勝手な交渉にあたふたしている。だが、麦秋は意に介さない。

「そう言えば、あなたが娘さんをさらった時、奥さんはもう離婚しないと叫んでいました」

「なるほど。互いに有益な交換か」

「さぁ、硲さん。どちらでお会いしましょうか」

「本当に俺をパクッたりしないんだな?」

硲が念を押してくる。

「しません」

麦秋も押し返す。

「あかん、こいつあかんわ。ヤクザの会社潰すことしか頭にあらへん」

三ケ島は交渉が成立しそうになり、アワアワする。

「いいだろう。ただしお前一人で来い」

「わかりました。一人で行きます」

 

廃棄物の不法投棄場。

砂埃が舞い、あたりは一面薄茶色に見える。

待受ける麦秋の元に、硲が近づいてきた。

「娘はどこだ!」

声を張り上げる硲。

「証拠が入ったパソコンを先に渡してもらいます」

硲はパソコンとマニフェストファイルを麦秋に手渡した。パソコンを立ち上げる麦秋。マニフェストのフォルダのパスワードを硲に聞くと、面倒くさそうに硲が打ち込んだ。

フォルダの中身を確認した麦秋は、「確かに」というと、踵を返し、証拠をカバンにしまった。

「お、おいっ!娘は?娘はどこだよ!」

追いすがる硲に、「施設で大切に預かっていると申したはずですが」と返す麦秋。

そこへ、水原と三ケ島を先頭に、マル暴の刑事たちが2列になってやってきた。

「騙したなコノヤロウ!」

硲が声を荒げる。

「だから、騙してはいません」

「一人で来るって言ったろ!」

「一人で来ました。タクシーで、17,620円掛かりました」と、麦秋が言う。

「一方!俺たちはみんなでパトカーに乗って来た」

水原が言うと、「あっちに止めてあるわい」と三ケ島も言う。

「パクんねぇって言ったじゃねぇかよ!」

硲が麦秋に向かって言う。

「ええ、言いました。交換条件に乗ったら逮捕しないと」

「交換条件って…パソコン渡したろ!」

硲が怒鳴る。

「ですから、娘さんやパソコンは今回の交換には何にも関係ありません。何度も同じこと言わせないでください」

「じゃぁ…なんなんだ!!」

硲がたまらず叫んだ。そこへ、麦秋が1枚の書類を持って近づいてくる。

「離婚届け…?」

「今度こそこちらに、一筆頂戴いたします」

水原の背中をテーブル代わりにして、硲は離婚届にサインをした。それを麦秋が奪い取る。
硲は刑事たちの間を走り抜けていった。その背中に、水原が「やっぱ納得いかねぇ!」と叫ぶ。

「ホンマやったら逮捕すべきや」

三ケ島が言う。だが、麦秋は、

「逮捕してもまた、カタギさんの税金を使って、刑務所に行くだけです。あの男は、唯一黒字だった会社が摘発され、社員も逮捕され、シノギを失ったんです。そんな男を上の組織が拾ってくれるとは思えません。さらに、妻や娘も我々に奪われました」

「ほな、どうなんねん、あいつ」

「あとは、苦しんで苦しんで、カタギに這い上がって行くか、または…野垂れ死にでもすればいんです…」

そう言って麦秋は薄笑いを浮かべた。

「ヤメゴク…ヤクザをやめさす極道…あいつそう呼ばれてるんっすよ…」

麦秋から数歩離れた三ケ島のそばに行き、水原が言った。

「らしいのう」

三ケ島が答える。

振り向くと、麦秋はもう歩き去っていた。強く吹き付ける風の中を一人で。

 

水千組の事務所。

「なんで本部じゃなく、うちに呼び出されたかわかるな」

zomahon.co.jpと書かれた段ボールを開けながら、水田が言う。

「シャブのルートで買いました」

藤田が言うと茶色い紙袋からいくつかの携帯を出した。

「ヤクの客がくっついてる携帯です」

「シャブはご法度だって何度言えば!」

水田が怒声を上げる。

「ジャブじゃありません!脱法ドラッグとか、危険ドラッグとか、そういう風に呼ばれているヤクに客がついてましてね!」

藤田も声を荒げた。だが、水田は木刀を手に取ると、携帯に叩きつけた。

「いいか。シャブじゃなくてもヤクを商売にするな!」

水田は机の上に並べられた携帯を、木刀で雪崩落とした。藤田が肩を落とす。

「結構元手が掛かったんですがね…」

水田が机を木刀で叩く。

「喜一郎!」

「なのに買った途端、すぐに摘発されたみたいで…」

「摘発された?」

「この携帯、全部一度も使いませんでした!」

藤田は悔し紛れに携帯を床に叩きつけた。

「お前、誰かにガセの携帯つかまされたんじゃねえのか!」

藤田は何かを考え込んだ。そこへ、カタカタとキーボードを叩く音が聞こえてきた。

「これが頭のシノギですか…」

その部屋の中には、いくつものディスプレイに数字やチャートが映っていた。

「これが噂の頭のシノギですか…俺にも頭みたいな才覚があればなぁ」

藤田が部屋の中を覗き込むと、水田が無理矢理ドアを閉めた。

「大丈夫か…定例会はもうすぐだぞ。上納金の支払い…大丈夫か」

 

留置室の面会。

麦秋と三ケ島が並んで座っていた。三ケ島は、透明の仕切りに離婚届の用紙を張りつけ、知佳子に見せた。

「ありがとうございました」

紺色のトレーナーを着て、パーマを落とした知佳子がいた。

「ここから出たら、優奈と二人やり直します」と明るく言う。

「それがええわ」

三ケ島も顔に笑みを浮かべた。

「どうやって…ここを出てどうやって生活していくんですか。これから、罰金という名の何百万もの借金を抱えて…ちなみに、検事に頼んで最大日数…つまり20日間、拘束してもらうことになっています。その間、娘さんには絶対合わせません」

麦秋の非情な言葉に、「そんな…酷い!どうして!」と噛みつく知佳子。

「苦しんでください。これまで、あなたの夫が苦しめてきた人たちの分まで、苦しんで苦しんでそうしてそこから、あなたはカタギに這い上がっていくんです」

麦秋はそれだけ言うとその場を立ち去った。

「待って!どういうこと!話が違うじゃない」

知佳子は透明な仕切りの向こうで追いすがるが、麦秋は振り向きもしない。

「いやいや、あの…」

そこへ、佐野がやってきた。

「言い方は厳しいでございますがね…実際問題、どう考えても20日以上掛かるんでございますよ」

三ケ島が「なんで検察がそんな…」と聞くが、「取り調べにではなく、ご就職活動に、でございます」と佐野は言う。

「小さなお子様を抱えた女性が、真っ当なお仕事を見つけるのは本当に難しい。それは、もうご経験済みでございますよね」

佐野の話を聞いて、知佳子の気勢がそがれた。

「その間、今もお逃げになっているご主人からご自分の身を守り、お子様の身も守りながら就職先を探す…それには、今のこの環境、なかなか悪くないはずでございますよ。それほどまでに娘さんに会いたいのなら、厳しいと思いますが、頑張れますよね」

佐野が柔らかい物腰で諭すように言う。

「黒い服の警察官に伝えてください。いっぱい苦しんで苦しんで頑張りますと」

言うと知佳子は笑みを浮かべた。

 

三ケ島は地下の駐車場に降りてきた。パトカーの向こうを歩く麦秋を見つけ、その後を追った。

「てめぇの言う通りにやった」

声の主は水原。「ヤク担当の力借りてな」

水原の隣には、いつぞや三ケ島にホットシャブの話をしたヤク担当の刑事がいる。

「とりあえず、すぐに摘発できる携帯を流した。貴船組の藤田って男に渡るように」

柱の影から三ケ島がその会話を聞いている。

「これで借りは返したぞ」

水原が言い、二人は警察車両に乗ってその場を去った。

麦秋が戻ってくる。

「どういうこっちゃ」

三ケ島が声を掛けた。

「お前、藤田になにした」

「あなたの依頼を実行しているだけです…藤田っていう男を、貴船組から足抜けさせたいというあなたの依頼を」

二人の視線が交錯した…。

 

●第4話のゲスト

 

・硲 裕司(はざまゆうじ)/緋田康人

白城会系硲組組長。石ケ谷運送の社長。

 元お笑いコンビ「ビシバシステム」を俳優に専念するために解散。主演こそないものの、さまざまな映画・ドラマの脇役として、多種多様の役柄を演じている。

 

・硲 知佳子(はざまちかこ)/神楽坂恵

硲裕司の妻。

 元グラビアアイドルの女優・33歳。出演した映画の監督であった、園子温氏と2011年に結婚。その後もいくつかの映画やドラマなどに出演。

 

・硲 優奈(はざまゆうな)/伊藤成美

硲裕司の娘。

 栗山千明・黒谷友香・神田うのなどが在籍する芸能プロダクション・スペースクラフトのジュニア事業部に在籍する子役。

 

<スポンサーリンク>

 


 

いかがでしたでしょうか?

第4話では、いくつかの謎の片鱗が紐解かれてきました。まだまだ全容が判明するには時間がかかりそうですね!

っていうか、今回も長いあらすじになりました。何度もいいますがあくまでもあらすじですので念のため。

それでは次回は、第5話のあらすじをご紹介します♪

 

「ヤメゴク」の関連記事はこちら

TBSドラマ「ヤメゴク」第3話のあらすじをネタバレ!視聴率大爆死!?

TBSドラマ「ヤメゴク」第2話のあらすじをネタバレ!コミック・小説も!

大島優子主演「ヤメゴク」第1話のキャストやあらすじをネタバレ!

 - 映画・ドラマ・音楽, ドラマ

     
        
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

  関連記事