少し前から日本でも女性を中心にブームになっている、「大人の塗り絵」。今や日本だけでなく、世界中で静かなブームを巻き起こしています。書店に行けば、たくさんの「大人の塗り絵」の本が平積みで売られているのを見かけます。
これまでは塗り絵といえば、幼児や子どもの遊びといった印象でしたが、「大人の塗り絵」は非常に精緻でデザイン性の高い図案を採用したものが多く、見ているだけでもその美しさに目を奪われるものも…。
子どものころには多くの人が夢中になって遊んだ塗り絵。大人にとっても楽しいものかもしれませんが…。それにしてもなぜここまで人気に火がついたのでしょうか?どうやら塗り絵は楽しいだけでなく、素晴らしいヒーリング効果もあるようなのです。
そこで今回は、大人の塗り絵が人気になった背景やおすすめの塗り絵本、画材の特長などをご紹介します♪
●大人の塗り絵とは?
大人の塗り絵は、最初フランスの女性たちの間で人気に火が付きました。フランス語で「コロリアージュ」と呼ばれるこれらの塗り絵は、複雑な花模様や幾何学模様、曼荼羅、旅の風景画、おしゃれな人物画など、デザイン性が高く、色とりどりに塗ればそれだけでアート作品になってしまうものばかり。
でも、人気の秘密は完成させた絵の美しさだけではないのです。
女性の就業率が格段に高いフランスでは、ストレスによる体調不良に悩む女性たちが非常に多いそうです。そこで、フランスで複数の出版社では、「ストレス対策」や「アート・セラピー」などの謳い文句をコロリアージュの表紙に採用して売り出したところ、爆発的な人気を呼びました。
実際に塗り絵に没頭することで、呼吸が落ち着き心穏やかになれる、頭痛がなくなった、怒りっぽい性格が改善された、などという声が聞かれています。
こういった報告から、塗り絵がストレスやうつ症状の緩和に役立ち、結果として薬の服用による副作用を避けられるのではと注目されています。
●種類豊富な大人の塗り絵
「大人の塗り絵」と言っても、さまざまな種類があります。そこで、テイストの異なる「大人の塗り絵」をいくつかご紹介します。
こちらはまさに、タイトルに「自律神経を整える」とダイレクトに書いてあります。比較的和風な図案の多い1冊です。
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イングランド→北欧→南欧→中東→アジア→太平洋→カナダ→アメリカ…と、世界を塗り絵で横断することができる図案が満載。塗った後は飾ったりカードにしたり、「使って楽しめる」1冊です。
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日本各地の懐かしい風景が11点収録された1冊。シンプルな構図で絵画のような美しさは、精緻なパターン塗りとは異なり初心者にもぴったりです。
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どこかに必ずネコがいる…猫好きにはたまらない、メルヘンチックなデザイン満載「ネコだらけ」の1冊です。
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ファンタジックでユニークな動物が満載の1冊。遊び心の詰まったイラストには、よく見ると文字が隠されていたりします。
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ディズニーキャラクターのバンビ、ダンボ、ピノキオ、ピーターパンなどの絵本から、とっておきの名場面が11点収録された1冊です。
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●どれで塗る?画材の特長
塗り絵をする際は、一般的な色鉛筆を使うのが手軽です。とはいえ、慣れてくればもっと違った風合いを出すために、他の画材を使いたくなってくるもの。そこで、主な画材の特長をご紹介します。
<色鉛筆>
顔料をワックスで成形した芯が入った鉛筆で、それ単体のみで色を付けることができる、一番手軽な彩色画材です。油性色鉛筆とも呼ばれます。
筆やパレットといった道具も全く必要ありません。筆圧の強弱、または色鉛筆を立てたり寝かせたりと、角度によって線の表情を変えることができます。
温かみのある多様な表現が可能。手も汚れず使用が簡単で、塗り絵をするのに非常に便利です。
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<水彩色鉛筆>
顔料を水溶性の成形材で固めた芯の入った鉛筆。油性色鉛筆のように鉛筆としても使用できるし、色を塗った上から水で濡らした筆でなぞると、水彩画のようなタッチでも描けます。
また、濡らした画用紙の上から水彩色鉛筆で描いたり、直接水彩色鉛筆を水に浸して描くと、非常に力強いタッチで表現することができるなど、色鉛筆と水彩画の中間のような表現もできます。
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<クーピーペンシル>
クレヨンのような発色と、色鉛筆のような使いやすさを実現した彩色画材。鉛筆のように細長く、鉛筆削りで先を削れば、色鉛筆のような細い線が表現できたりもちろん太い線も描けます。
色鉛筆と同じく筆圧の強弱、ペンシルの角度で違ったタッチを表現できます。違う色を重ね塗りすることで、独特の風合いを生かした混色をすることも。
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<クレパス>
クレヨンとパステルの中間の性質をもった画材。クレヨンよりも油分が多く柔らかいので、伸びがよく面塗なども簡単にできます。しっとりとした重みのある質感で、重ねて塗ることでさらに油絵のように重厚な表現をすることも可能。
<水彩絵具>
透明感のある軽いタッチの表現ができる絵具。筆の大きさを変えることで、線の太さを変えられます。また、混色はパレットの上で絵具を混ぜることで、様々な色を作り出すことができます。
色の濃淡は絵具と混ぜる水の量で調整します。水が多いほど色が薄くなり、透明感が増します。細い線から面塗まで、幅広い表現をすることができます。
後記
一昔…ふた昔前くらいから「大人の塗り絵」を本屋で見かけるようになりましたが、どちらかと言うと絵画チックなものが多く、40代以上の年齢層に訴求したイラストが多かったように記憶しています。
ところがここ最近見かけるのは、リバティ生地のような小花柄の精緻なパターンの塗り絵だったり、ファンタジックな動物に緻密な柄が入ったものだったり。
塗る前のイラストから魅せられてしまい、色を塗るのがもったいないくらいです。でも、塗ったら塗ったでまたキレイなんですよね。
「大人の塗り絵」は手軽なストレス解消におすすめです♪